現代に舞い降りた天使たち

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光の中の天使たち[前編]

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現代に舞い降りた天使たち』第4弾前編
 こちらの物語は、長編です(^-^;)ゞ
 あちらのBlogでは、4ページになってしまったものです。
 なので……こちらでは、前後編としてお届けします。

 一気に掲載しようかと思いましたが……さすがに長いw


 このお話は、主視点と主観点が変更する変則的な物語になっています。
 出ているキャラ、それぞれが主人公。
 誰の見ているものなのか、それを読み取るのは少し大変かもしれませんが(^-^;)ゞ

 おもな主登場キャラは、パンドラとシヴァ。
 後半はそれにユダとゴウとが絡んできます。
 全体的に言えば、シヴァ視点の方が多いかな?


 こちらが描くシヴァは、まさしくツンデレ・キャラ!
 もう「木陰のシヴァたん」とさえ言いたくなります❤(勝手に名前変えるなよ(苦笑))
 あ、でも、前編では木陰のシーンは出てませんが^^;

 そして、なんとなく……六聖獣のときとかよりは「ユダ一筋!」と言うのが薄れております……はい(苦笑)
 なんででしょうねぇ?(^m^*)

 そんな、割と可愛いシヴァたんをご堪能いただければ……と思います。
 なんとなく、“宴”の彼を思い出すかも❤
 しかし……パンドラさんは、より乙女になったような気が^^;



 ではでは、↓のリンク「≫ Read More... 」をクリックして読んでくださいね❤

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆光の中の天使たち [前編]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「あ〜、ちょっとこっち向いてくれるー? そーそそそ。今度は斜め下向いてー。いいよー」
フラッシュの光とシャッターの音が狭い空間に響き渡る。
「そーそー。寄り添ってねー」
いろんな注文を付けられても、いやな顔ひとつせずに言われたとおりのポーズをとっている。
その横とかで何人もの人が忙しなく動き回っている。
いわゆる、アシスタントってヤツ。
指示にあわせて、小物を用意したり、配置を換えたり、いろいろしたりする人たち。
あまり広くない場所だから、5人くらいいただけで、その場が妙に狭く感じる。
さっきからずっとライトに当てられているから、やっぱり汗もかいたりするわけで。
メイクが汗で崩れる前に、それを直したりしているメイクさんも張り付いてるって感じ。
表立ったところで見えるものは、凄く華やかで煌びやかなものでも、実際の現場はこんなもの。
たまに海外なんかで撮っているってのもあるけど、それはまた別なものだ。
通常は、こんな感じのそんなに広くはない場所で撮っている。
大きな幕がライトの光とフラッシュを反射して、そちらを見ると眩しい。
「そーそーそー。いいよー。はーい、目線こっちねー。ちょっと目元甘くしてみよーかー。うーん、いいよー」
シャッターの音にあわせるように、くるくるとその表情を変えていく。
愛らしかったり、ちょっと不機嫌そうだったり、全開の笑みだったり……。

カメラマンのはるか後ろの方。
ほとんど暗がりと言ってもいいところで、ため息をつく人影があった。
「まったく……よくやるよ」
不機嫌さを隠しもしないで、紙コップのドリンクを口にしながら、様子をじっと見ていた。
「ボク、なんでこんなところにいるんだろうな……」
自分が凄く場違いなところにいるような気がしてならない。
思えば……あれは、強引に街に連れて来られた時だった。
ほんのちょっと助けて――みたいなこと言ったからさ。
まぁ、暇だったのもあるし、少しならいいかなって付き合ってやったら、こんな所に連れて来て……。
挙句の果てに、ずっと一緒にだって!?

いつだってそう。
アイツは、このボクを強引に連れ回すんだ。
ボクがあたふたしているうちに、なんでもすべて決めちゃう。
この事だってそうだ。
なにも、好きでこんなことしてない。
アイツが頼み込むから、仕方なしに……。

ふっと、何気なしに、カメラマン達の方を見た。
いつの間にか衣装替えをして、再びカメラの前に立っていた。
その姿に――思わず見惚れていた。
なんと言うか……その。
とっても、綺麗だったから――。

はっと我に返る。
「なんで、ボクがアイツのことを……」
認めたくないことだった。
自分の心の中にいるのは、いつだってあの人。
たった一人の……。
その、はずなのに……。

自分の心の揺れに戸惑っていた。
有り得ない――そう思いつつ、気になるのは確かだった。
どうしちゃったんだろう……。
困惑の中、少し上の空――心、ここに在らずという感じで。
だから、目の前に来ていたことにすら気付かなかった。
「どうしたんです? ぼうっとして。ほら、呼ばれてますよ?」
「えっ? あ、いや……」
まともに顔が見れず、つい目線を逸らしてしまう。
そんないつもと違う仕草に、訝しげに小首を傾げるその姿は、本当に可愛らしくて……。
「どうしたのさ? みんなが待ってるよ」
「あぁ、そうでした。さ、早く来てください」
「え? あ、いや、その……」
頬まで熱くなりそうだった。
そんな自分を振り切るように、頭を振った。
「でも、ボク衣装替えてないし――」
断ったつもりで言ったのに、なぜか口にしたのはそんな言葉。
「大丈夫ですよ。さ。行きましょう」
まさしく、天使の微笑み。
「で、でも……」
いつまでたっても煮え切らない態度に、少し焦れてきたのか、ちょっとだけ目元をきつくする。
「時間が押してるんです。早くしてください」
そう言われたら――さすがに、それ以上駄々をこねるようなことは出来なかった。
いつもなら、嫌な事は嫌と言うのだけれど。
渋々といった体で、重い腰を上げたのだった。

「お待たせして申し訳ありません」
にこやかに言う、その微笑と物腰に、現場の雰囲気がいっぺんに和らぐ。
「大丈夫だよー。じゃあ……。そうだな、向き合ってくれるかい? ちょっと恋人同士みたいな雰囲気だと良いんだけどなー」
などと暢気に注文をつけてくるカメラマンを睨もうかと思ったら、先にこちらに睨まれた。
そして、ふたりだけにしか聞こえない小さな声で囁かれた。
「これ以上迷惑をかけることは、許しませんからね」
笑顔のままで、ややどすが利いたような声音。
思わず、背筋がぞくっとする。
「わ、わかったよ……」
やっとの思いでそう言うと、にっこりと微笑みながら。
「わかればいいんです」
言い放つと、既にモデルの顔になっていた。
「さ、あなたも……」
手を取って、瞳を合わせる様に見上げてくる。
潤んだような大きな瞳が、こちらを見上げている。
本当に、女の子みたいに。

いくつものフラッシュの中、既に色を失ったような視覚。
けれど……見つめてくる瞳だけは、しっかりと見えていて。
なにか、囚われてしまいそうな錯覚にさえ陥った。
まばゆい光の中で、真っ白な羽根が舞い散るような、そんな感覚さえあって。
現実なのか夢なのか幻惑なのか……そんな区別さえできなくなりそうだった。



「はい、お疲れ様」
冷たい缶を額につけるようにして、少しふざけたように笑う。
「冷た……。なにすんだよっ!」
「おやおや。そんなに怒らなくても良いじゃないですか。咽喉が渇いているかと思って……」
少し淋しげに笑う瞳に、こちらの胸が少し痛む。
なんでこんな思いしなきゃいけないんだよ……そんなこと思いながら、缶を開ける。
「痛っ……」
横で小さい悲鳴が聞こえた。
「大丈夫かい? 爪、割れたりしなかった?」
「あぁ、大丈夫。ちょっと硬くて……」
「かせよ」
ぶっきら棒に、手を差し出した。
「え?」
きょとんとした顔で、こっちを見ている。
「それ。開けてやるよ。硬いんだろ?」
顔はそっぽを向いたまま、手だけ差し出して。
「あ、はい。ありがとうございます」
嬉しそうに、その缶を手渡して。
「別に礼なんていらないよ。これくらいしか、出来ないし……。ほら」
開いた缶を、さっきと同じようにぶっきら棒に差し出す。
くすっと笑いが漏れていた。
「なっ!?」
笑われたことで、少しかっとなった。
「あぁ、気分を害したのならすみません。ありがとうございます。助かりました」
などと素直に謝られたら……怒り続けることも出来やしない。
「いいよ。別に……」
「相変わらず、素直じゃないね」
「おまえに言われたくないよ」
「そんな言い方はないじゃないか」
「それ以外になんて言えばいいって言うのさ」
何かいいたげなまま、口を閉ざしてしまった。
きっと、内心は泣いているのではないだろうか?
そう思ったけれど……何か、むしゃくしゃした気分が晴れないせいで、何も言いだせなかった。




「ほら、見てみて❤ 今月号の表紙になったのよー、あなたたち❤」
会社の女社長が、凄く嬉しそうに雑誌を見せに来た。
「うわ……」
なんか自分じゃないみたいな人がいる――そんな感じで、照れくさかった。
「素敵じゃないですか。いいですね、これ」
少しうっとりしたような表情でその表紙を見つめている横顔は、なんとなく少女のようだった。
「でしょ? もう、上がる前から評判よくってね〜❤ これは売り上げも期待できるわ」
そう言う語尾が上がりまくっている。
まるで、今にも踊りだしそうなくらい機嫌がいい。
社長が上機嫌なのが、あまり彼女の事をよく知らないこちらですら、よく解った気がする。
「そんな……」
「もっと、堂々としていいのよ。あなた達も、りっぱなモデルの仲間入りって所なんだから」
「あなたたちって……ボクも入ってるの?」
「当たり前でしょ。我が社一の自慢のモデルさんたちなんだから」
「……ひと括りにされてるな……」
「贅沢言わないのっ! あなた達が一緒にいると、部数が伸びるのよ」
「どうしてなんだろうね?」
「個性と言うより、一緒にいる方が絵になるからじゃない?」
「絵――ですか?」
「そう。だって、あなたたちって、本当に天使みたいに可愛いんですもの❤」
「……それって……」
「褒め言葉!?」
「そうよっ! 自信持ちなさいよ! じゃあ、私はまだ用事があるから。あなた達はもう帰ってもいいわよ。今日はご苦労様。あ、スケジュールはちゃんと確認しておいてね」
「あ、はい。お疲れ様でした」
「お疲れ様でしたー」
「……」
不機嫌そうに宙を睨んで、心、ここに在らず――と言った顔をしている。
そんな様子を見ながらため息をついて、こう言った。
「……まったく……。挨拶は、基本ですよ。特にこういう業界は」
「え? あ……」
「まったく。一人にしておけないね」
「本当ですね」
苦笑しながら語りかけているのは、真っ白な綿毛のような小動物。
「な……。べ、別にいいじゃないか。ボクはずっとこの仕事していくつもりはないんだから……」
「ほう。この仕事を辞めたら、どこに行くつもりなんですか?」
「え? いや、そ、そりゃあ、いっぱいあるさ。探せば……」
「人気のあるうちは、この世界を満喫した方がいいですよ。そのうち人気なんて廃れてしまうのですから……」
「そ、そうなの?」
「えぇ。見て御覧なさい。数年前の雑誌を飾っていたモデル達が、今はいったいどのくらい第一線で活躍していることやら……。不動の人気なんて、あるわけないんですよ」
「……た、確かにそうかもしれない」
「だから、今は我慢のとき。そうじゃありませんか?」
「そう、かも、しれない」
「わかったんならいいんです。さ、私達も帰りましょう」
「う、うん……」




「あ〜ぁ。さすがに、今日は疲れたなぁ……」
空を見上げて、これ見よがしに伸びをする。
あまり疲れるようなことはしていないようにも思えたのだけれど。
それでも、人と接する事の少ない彼は、気疲れを感じていたのかもしれない。
ふと横を見ると、ちょっと開放的になっているその顔が、妙に微笑ましくて……。
思わず、くすりと笑いを漏らしながら見てしまっていた。
「そうですか? それはお疲れ様です。既に外は暗くなってしまってますね」
ぽつりぽつりと小さく星が見えているような気がした。
実際は、こんな灯りの下で、そんな星が見えるわけもないのだけれど。
けれども、本当は、この夜空の中、目には見えないたくさんの星があることは知っている。
何も、目に見えるものだけがすべてではない――そう言っていたのは、誰だったろうか。
遠い日の記憶だったような気もするし、どこかの学者の受け売りだったような気もする……。
聞いたことがあるのは確かなのに、それが誰からだったかだけが思い出せない。
それが少しもどかしかった。
「でも、まだ夜は早いよ。ゆっくり帰ろう」
その声に、はっと我に返る。
なにか、夢を見ていたような……そんな気になった。
そう……今のは、単なる夢――そう、思おうとした。
何故、思おうとしなければいけないのか……考えれば考えるほど、疑問がわきあがってくる。
妙に……もやもやしたものを抱え込んでしまった気がした。
「タクシーの方がいいんじゃないの? 一応、売れっ子なんだしさ」
そんな肩の上からの問いに、やわらかい笑みで答える。
「大丈夫。モデルと言うのは普通の格好をしていると、案外気付かれないものですよ」
「そうかなぁ……」
「あなたは……ちょっと目立ちますかね?」
そう言うと、思わずくすくす笑ってしまった。
「あ、それってボクが普通の動物じゃないって言う意味? 酷いなぁ……」
むっとした声音。
気分を害してしまったのかもしれない。
こんなところで、喧嘩をすることもないだろう。
ここは、自分が悪いのだから折れることにしよう。
「まぁ、普通の動物なら、こんな風にあなたとお話は出来ませんけれどね」
その言葉に、嬉々とした声で。
「そうだね。やっぱり、これだからいいんだよね。きっと」
「そうですよ」
「でも、やっぱりタクシーにしない? ここ結構人通り多そうだし」
「だそうですけれど、どうします?」
大通りの方を、少し詰まらなさそうに見ている彼に声をかけた。
「どうって……あ……」
「え?」
視線の先にいた人――それは……。
「ユ……」
叫びそうになった彼の口を、思わず反射的に塞いでしまった。
「何するんだよっ! せっかく、久々に見かけたって言うのに……」
そう。この仕事は結構不規則な時間が多い。
早く帰れるときもあれば、スタジオやなにやの都合で深夜にまで及ぶ事もある。
夜の仕事をしている彼とは、すっかりと時間が合わなくなってしまって、顔を見ることさえままならなかったのだろう。
この通りをはさんだ向こう側とのすれ違いも、本当に久々だったのも知っている。
でも……。
「今はダメですよ。周りに人が多すぎます」
そう言うのがやっとだった。
顔が、少し強張っている。
こんな態度、取るつもりもなかったのに……。
「大丈夫だろ? 人がいたくらい、どうってことは……」
「ダメですってば! 早く帰りましょう。タクシー拾って……」
「なんでだよ? なんで邪魔するんだよ?」
このままでは騒ぎ立てるだけだと思い、真実を打ち明けることにした。
今、この場で彼に声をかけることが、いかにダメなのかと言う事を。
「気付かないんですか? 周りにいる人々のこと……」
「回りの? いいや。誰がいたの?」
「知らなかったんですか? この辺の界隈の夜のボスと言われているあの方を……」
「そんな人がなんで? 一緒にいたの?」
「えぇ。ですから、ここは……」
ふと見上げると、しばし呆然としているような顔をして、彼の居た場所を見つめていた。
その袖を引っ張っると、やっと我に返ってくれた。
「あまり、良い噂はない方です。なんでもやり手だという話ですし。ですから、目立つ行動はしたくありません。大人しくタクシーで帰りましょう」
「なんで、そんな人と……」
自失呆然とした顔で、呟くように言う。
少し可愛そうだけれど……。
あの人たちのそばにはいたくはない。
特に、あの……。
ちらりと見かけただけで誰なのかすぐわかるくらいの、存在感を持ち合わせている人。
「割と親しげ――だったよね?」
「取引先か何か――だったかもしれませんよ。そのうち、解ることでしょう」
そそくさとタクシーを拾おうと、手を上げた。
彼の消えた通りの向こうを、名残惜しそうに何度も見ている。
優しい声をかけた方が良いのだろうか?
けれど、なんと言えば?
そんな言葉は、今のわたしには浮かばない……。
「でも……大丈夫なのかな? そんな人と一緒にいて……」
名残惜しそうに、まだ向こうを見ながら呟く声。
「直接お尋ねしてみればいかがです? まぁ、正直に答えて下さるとは限りませんけれど」
「なんで? 尋ねれば、きっとボクに答えてくれるさ。本当に、正直なところを」
意気込みながらいう言葉に、自分自身、少し哀しげに瞳が曇ったのを知らなかった。
そして、それを見られていたことさえも。
「……正直に答えてくれることが、必ずしも良いわけではないですけれどね」
その言葉をどう取ったのか……。
このことに関して、彼が二の句を告げてくることはなかった。

後編はこちらからどうぞ^^

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Date:2008/07/02
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Thema:『現代に舞い降りた天使たち』 - 【S・B】
Janre:小説・文学

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